「いつか王子駅で」という本を読んでいる。

堀江敏幸という人の本で、装丁が気に入って買った。これがおもしろい。王子に住む
主人公の、なんでもない、むしろ冴えないともいえる生活を描いた静かな物語なのだ
が、町の人々との触れ合い、そして生活を愉しむ主人公の感覚に不思議とひきつけ
られる。

王子で、この本を読んでみようと思い立った。いつもより早く家を出て、川口の職場か
ら京浜東北線で三駅先の王子駅で降りる。

飛鳥山公園に行ってみる。公園は小高い丘の上にあり、京浜東北線や都電荒川線
が見下ろせる。桜がたくさん植えてあるので、桜の季節はさぞ素敵なのだろうと思う。
今日は春のにおいも感じられるいい日和。思わず大きな欠伸をしたら散歩中の茶色
いフェレットと目が合う。

駅前に戻って喫茶店を探していると、男子高校生が「吉野家にする?まきやにする?」
と言い合っている。まきやって何だろう、と思っていると、彼らの後に「まきや」という喫
茶店があった。
タバコの煙でくもった店内に入る。一緒に入ってきた年配の女性3人組が、大きな声
で「たばこくさ~い」と言う。隣の席はパンチパーマの小柄な初老の男性。「ホットミル
ク」と注文を言う声が、ベテラン俳優のように低く、厚みのある声だった。

さっそく「いつか王子駅で」の続きを読む。ちょっと恥ずかしいので、カバーは取ってか
ら。

maki01.JPG

maki02.jpg

まきや
北区王子1-22-16
03-3914-6461