パルコをこえ、公園通りを少しわき道に入ったところに、「モボ・モガ」という喫茶店
を見つけた。

古いビルの2階。「2階」にあるお店に入るのはちょっと勇気がいる。飲食店の場合、
入ってしまったら出ていくわけにもいかないから。
モボ・モガ?「モダンガール・モダンボーイ」は昭和初期の若者を表した言葉だが、
知ってか知らずかお店は昭和レトロな雰囲気ではなく、メキシカンだった。

オムライスのランチセットを注文し、南米系の音楽が流れる店内で、窓際に座って
渋谷の街を行き交う若者たちを眺めながら、私にとっての「渋谷」について考えた。

上京する前、渋谷は憧れの街だった。「都会」への憧れは絶対的だった。
はじめて渋谷をひとりで歩いたのは受験のときだ。スクランブル交差点でナンパ
されて泣きそうになった(今考えると、ヘアサロンの勧誘だったような気もするけど)。
そして、「なんて大きい街なんだ」と思ったことを覚えている。

東京で仕事をするようになって何年かたった今、気づいたらすっぽりと東京の中に
入っていた。自分で言うのは変かもしれないけど、もう、私はおのぼりさんではない
なと思う。

ビッグ・サイズで大味のオムライスを食べ、ビアジョッキみたいなカップに入った薄い
コーヒーを飲みながら、少しだけさみしくなる。

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モボ・モガ
渋谷区宇田川町4-9-2F
03-3464-6090