あてもなく拙宅にある書庫の赤い背表紙を眺めていた。昔から大好きだった作家の文庫本。ペーパーバックのように毎月新刊がでていた。1984年、まだバブルを知らない頃だ。

その中の一冊を手にとって開くと、懐かしい匂いがかすかに部屋に漂った。ブルースカイと題した15枚の青空の写真が挿入されていた。本の表題は『?一日じゅう空を見ていた?』。

 

なんて素敵なタイトルなんだろう。ストーリーは、屋根のない2800ccの国産2シーター

オープンカーを手に入れた彼女が、秋の高原のターンパイクを彼に運転してもらい、その

クルマで走りながら、自分は助手席をフルフラットに倒して"一日じゅう空を見ていよう"

と思いつく。彼が実行してくれるなら最高の誕生日プレゼントになる、という内容だ。

 

 

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銀座を歩いていると、ときどき赤い2階建てバスに出会う。都内を車窓観光で巡るバス。

ふと、このスカイバスに乗ってみようと思い立った。コースは6種類ほどあり、もちろん

予約したのは皇居・銀座・丸の内コース。東京駅丸の内南口の三菱ビル前から、1時間おき

に1本運行されている。ドイツネオプラン社製の2階建てフルオープンバスは、高さ3.8m、

全長12m。2階席は50名が座れ、走行中は立って歩くことも厳禁。女性の日傘も御法度だ。

 

 

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シートベルトをキチッと締めて定時に出発。若い女性の添乗員が丁寧にマイクで説明してくれる。信号待ちの時には、イチョウの葉やたわわに実った銀杏に手が届きそうだ。走りだしてすぐ、皇居の周りは地味な色の建物が多い。それは皇居の景観を損ねてはいけないという規制があるためだ。国立近代美術館→イギリス大使館→国立劇場→最高裁判所→国会議事堂→霞ヶ関と回って、有楽町のガード下から数寄屋橋に入り、銀座4丁目の交差点を京橋に

向かって左折する。晴海通りと中央通りは、それぞれの信号が同時に変わり、数寄屋橋と

4丁目の交差点の信号だけをワンテンポ遅らせている。こんな芸当はスカイバスに乗ら

なければ分からない。

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台風一過、秋晴れのその日は風が心地よく、空を仰ぎ見る50分のプレゼントがとても短く

思えた。お疲れさま、自分に。今日11月4日は、私の誕生日。そしてその素敵なタイトル

を考えた作家の名前は、片岡 義男といった。

 

 

 

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【スカイバス東京 予約センター】

◎予約電話番号=03-3215-0008

◎電話受付時間=09:30~18:00

◎乗車日1ヶ月前より電話受付開始。スカイバス東京は完全予約制では

ないので空席があれば当日の乗車も可能ですが、平日でも満席となる

場合もあるので、予約をオススメします。

◎東京駅丸の内南口から出発する、はとバスの2階建てオープンバス

?? ?「'O Sola mio」(オー・ソラ・ミオ)もあります。

 

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