前回の更新からずいぶん経ったような...雪に埋もれてました。




好きでやって来た北の街(私は札幌に住んでいます)だけど、
「もう無理!」を何度も繰り返しました。
が、最近はだいぶ暖かくなって、もうダウンじゃなくても
いいかな~と思っています




さて、だいぶ前の続き、五色不動の最後、目黄不動のある場所へ参りましょう。


目黄不動は諸説あって、台東区三ノ輪の永久寺と
江戸川区平井の最勝寺があげられています。
今後の展開(すみません。私の都合です。
江戸川区思いつかなくて!)のために三ノ輪を取り上げます。


 


若い頃はどうしても読めなかったものが、すんなりとんとんとんと
読み進められるようになることがある。
例えば『嵐が丘』や『金色夜又』。
主人公ヒースクリフや貫一の恨みや執着がどうしても
理解できなくて、ばかみたいと思った。
人を憎むくらいなら執着なんて捨ててしまえばいいのに、と思った。
捨てられないってことがあることを知らなかった。


15、6の頃、『?東綺譚』を手に取ったけれど読み進められなかった。
おっさんとかわいそうな娼婦の話しは、思春期の少女が
嫌悪感を催すには十分なキャスティングだった。
思春期も少女も遠くなりけり。
永井荷風の日記『断腸亭日乗』から南千住を取り上げようと
思ったけれど、なんだかしっくりこない。
鬼門『?東綺譚』を読み返すとあら不思議、
嫌悪感なんて露ほども沸いて来なかった。


 


 道路は交番の前で斜に二筋に分れ、その一筋は南千住、
一筋は白髭橋の方へ走り、それと交叉して浅草公園裏の
大通が言問橋を渡るので、交通は夜になってもなかなか
頻繁であるが、どういうことか、わたくしの尋問されるのを
怪しんで立止る通行人は一人もいない。


 


怪しい者かとおっさん(荷風であろう小説家大江匡)が
警官に尋問される場面で、彼が遊郭のあるこの辺りへ
よく来ることがわかる。それから、雨宿りした店先で
お雪という女と出会い、私娼窟玉の井でのお雪との
時間が書かれている。


ん?『?東綺譚』に肝心の三ノ輪は出てこないぞ。
いやいや、荷風は心を寄せた遊女たちを偲んで、
三ノ輪にある浄閑寺に通っていたのだそうで。
このお寺、通称投げ込み寺。
死んだって故郷に帰れない遊女たちは、亡くなると、
このお寺に葬られたのだそうです。
お墓があるわけでもないのに、今荷風忌が営まれるのはこのお寺。
荷風のことを思ったら、遊女のことも頭を過る。



 


〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)

〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)