両生類が好きなので、名古屋に住んでいた子どもの頃、
「赤目四十八滝」に連れて行ってもらった時には大喜びだった。
なにせここは、天然記念物オオサンショウウオの生息地なのだ。


 


カレら両生類は、ゆったりして動かず、のっそり動いたかと思うと、
急にクワッと大口を開け、舌をしゅんっと伸ばして虫を獲る。
その姿がコワイ。怖いけどかっこいい。
そのアンビバレントな我が心の動きを思うに、両生類に対する
私の気持ちは、危険な男を好きになってしまう恋心に
似ていなくもないなと思う。いや、似てないか。 


 


これらの生き物と人間がわかりあうことは、ほとんど不可能なのではないか?
哺乳類や鳥類は、別の個体の心の動きを感じ取ることができると
思っているのだけど、両生類にそれができるとは到底思えない。 


 


てなわけで、「我輩は猫である。名前はまだない」には、
まったく驚かなかったけれど、「山椒魚は悲しんだ」には、心底驚いた。
山椒魚の心の動きを書いてしまう井伏鱒二はすごい!
好きな作家はたくさんいるし、技巧的にうまいな~
(落語を用いたり、古典を下地にしながらそれを超えたり)って
作家もたくさんいるけれど、びっくりさせられることはそんなにない。
だからマスジにはなにか特別なものを感じている。
あいつは違うぜって気持ち。 


 


さて、駒込なのになんで『山椒魚』かって言うと、
ここ本郷南谷寺、目赤不動は、比叡山にいた僧侶が
赤目山(三重県)で授けられた不動明王像を持って結んだ庵が起こり。


 


で、私の中で赤目と言ったら山椒魚なのです。⇒日本サンショウウオセンター 


 


東京の街は、他の土地とのつながりも多いから、心の旅はどこまでも続くよ。


 


    山椒魚 (新潮文庫)


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