「小舎人童(こどねりわらわ)、奉公に来ている小間使いの子供のことだ。
 古文の重要基礎単語だから覚えておくように」
そう言いながら生徒の方を凝視する国語教諭。
その後の数日間、彼の受け持つ授業の中で、
この『こどねりわらわ』は幾度となく登場するのでした。
さすがに周知徹底された頃。
「じゃ、教科書読んで」
一人の男子生徒が指名され、教科書を読むことになりました。
男子生徒が、小舎人童(こどねりわらわ)の単語に行き着いたそのとき、
「~~しょうじゃじんどう~~~」と、自信満々に読みあげたのでした。
クラス中が大爆笑。国語教諭は絶句していました。
そのとき私は「あいつ、おいしいな~」なんて思いつつも、この一件で、
「きっとテストで読みを書かせられても、あいつのおかげで間違えることはないな」
と思っていました。
しかしその後、この『小舎人童』は定期テスト、模擬試験、入試、私の人生で
どこにも登場することはありませんでした。

それから10年近く経ったある日、
東京日暮里に降り立った私が目にした看板、 『舎人ライナー』
と・ね・り・ライナー!?」読めた自分に感激。
人生、どんな些細な経験でも役にたつものですね。
「ゆりかもめ」のようなのもで、今年の3月に、私でも走れそうな距離10km
を結ぶため開通したそうです。

ここ日暮里も舎人ライナーの開通に伴う、
道路整備や、マンション建設などの開拓が進み、
レトロな駄菓子屋街をはじめ下町ならでわの風景が
次々と消えていっており、少々残念な気がします。




そんなことを思いながら、日暮里駅を少し歩くと
谷中銀座商店街にたどり着きました。
ここはまだ、古き良き下町情緒が残っており、何だかワクワクします。
この日は雨ということもあり、人足はまばらです。

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「こんにちは」がこだましていく商店通り。
学校帰りの男の子の「ただいま」の声が、爽やかな風のように吹き抜けていく。
「お帰り」と心地よい風で呼応する大人達。
風のハーモニーが商店街の『人情』という空気を作っていく。

私の両親も昔、商店街の一員として自営業を営んでいました。
他の店舗の大人達や、常連のお客さんに可愛がってもらった光景が
懐かしく思い出されます。



心が温まる商店街。
そんな商店街入り口付近に店を構える焼鳥屋さん。

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店主は野良猫たちにご飯をあげているようです。

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温かい人情に支えられ、平和に過ごす猫たち。
しかし!図々しくも、みんな少し太りすぎでは?

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                                             撮影/台東区