それは僕にとっては間違いなく、
山でした。




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あれは数年前のこと。




僕はバリバリ現役のひきこもり、
なんとなく始めたインターネットで
同じひきこもりの人とメールをしていました。




そのメール相手、年上のYさんという人がいまして、
彼から「ひきこもりをやめる」
というメールが来ました。



「山に登って景色を見たら、僕の悩みなんて小さくて」と、Yさん。



Yさんは言った、ずっとこの部屋にいたら
見えない景色がある、と・・。
うん、僕も違う景色を見たい、山に登りたい!






と、言うわけで(前振り長くてごめんなさい)




いろいろなものから逃げて逃げまくったあげく
部屋に閉じこもった僕が、ひきこもりから
脱して初めて登った山(階段)の話。




「品川富士」


京急新馬場駅北口すぐの神社。





品川神社にある、小さな富士山。
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この階段の半ばあたりに、左見ると
登山口があります。





富士山の超ミニ版です。
小さいけど、この富士を登れば本物の富士山を
登るのと同じご利益がある、とのこと。
小さいけど。



しかし姉に聞いたらちゃんと7月1日に「山開き」を
行うらしく、あくまで「山扱い」です。
推定標高15メートル未満。しかし山です。






この強引さを見習いたいものです。






しかし、この品川富士
実は本物の富士山の溶岩で作ったんだそうです。
富士を踏みしめる、という意味合いでは
あながち間違ってはいないのかもしれません。






登山開始。
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入り口に来てなんとなく
わくわくしてしまう。ひきこもりには
ちょっとした冒険です。
スタート。






登山道から五合目。↓
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スタートからおよそ7秒で五合目です。




階段で全部登れる山って。山じゃないだろ。
というつっこみを自分で入れながら、

でも、不思議なことに、
その固い石を踏みしめる感覚が
足先から体に何かを伝えるような気がする。





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五合目を超えると大人一人がようやく登れる
狭さの階段に差し掛かる。ちょっと怖い。
かすかに息が乱れる。ひきこもりで体力なくなってる。。と
反省でした。






そして、てっぺん。
頂上にたどり着いたときまず言うべき言葉。


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「エイドリアーン!」(ロッキー)




頂上から落とした視線。
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赤い京急線や第一京浜を走る車、散歩の人が視界に入る。






中村一義の名曲「犬と猫」が頭の中で流れる。
”町を背に僕は行く”






実はその登ったとき
朝の5時前だったんです。
ご来光を見るにはそこからの景色は、都市過ぎていて
ビルに隠れた朝日が少し見える程度でした。




ちなみに頂上には先客の方がいまして、
カメラで三脚使って写真を撮っていました。
「あ、どーも」
「どーも」



それから数年たった今でも時々ふらりと
登りに行ってます。あの階段を登れば・・・


?

最近よく聴いている、
好きなミュージシャン、sleepy.abの「賛歌」と言う歌の
歌詞にこういうくだりがあります。


/階段あがれば、景色は
変わってゆくから、
逃げたい、なんて、言わない/