3月9日は「サンキュー」で感謝の日、たぶん。
営業先からの帰り道、鍛冶橋通りから右に曲ること2回。
あちこちがマンションに姿を変えていく中、下町八丁堀の風情を残す路地に、これまた下町風情たっぷりの焼き鳥屋がある。
その名は【右門】(八丁堀3?26?10)。
常連がお勘定を済ませて出てくるのと入れ替わりで奥のカウンターへ収まってメニューを一瞥。
「焼き鳥丼、大盛りで」
なかなか結果の出ない営業と腹のすき具合が注文に勢いをつけてしまった。
それでもカウンターから主の動きを見ていると徐々に徐々に癒されてくる(笑)。
そのうち、焼き台でジュワジュワモクモクと炙られる鶏肉を眺めていると、たかが昼飯も気分が盛り上がってくる。
されど昼飯である。
果たして運ばれてきた丼から放たれる鶏もも肉の照りは実にまぶしい。
さっそくかっ込むと、舌にうまみを残しつつ鼻に芳ばしさが抜けていく。
悶絶とまではいかないが、恍惚とする合間に香の物と鶏スープ(これまた絶品)を挟み込む。
これを規則正しく繰り返していくこと数回。
気がつけばご飯が余り気味になってきた。
お店が長年やってきてたどり着いた丼物は、どうやら一時の欲望で軽軽に大盛りにしてはいけないようだ。
それでも残すのは罪悪ということで大盛り分を平らげると
「丼はバランスなのよ」
と空になった丼からオンナの声が聞こえたような気がした。
「以後、気をつけます」とボク。
ところでこの【右門】という店名、気になって調べると広辞苑にこうある。
「右衛門府(うえもんふ)の略」。
これじゃあんまりだと「右衛門府」を追いかける。
すると・・・。
「皇居諸門の護衛、出入の許可、行幸の供奉(ぐぶ)などをつかさどった役所。811年(弘仁2)左衛門府・右衛門府に分れ、職員に督(かみ)・佐(すけ)・尉(じよう)・志(さかん)などがあり、多く検非違使(けびいし)を兼ねる。靫負府(ゆげいふ)」。
うぅー難しい、、、要は皇居の護衛部隊。
収穫は右門と並んで左門(左衛門府)があったという事実。
当たり前とは言え、門も左右のバランスが大事。
ということで、今回の「もんど、セレクション」は皇居に通じる鍛冶橋通り近辺から【右門】。
ぜひ煙に誘われて護衛に加わってちょうだい。