何処に行っても混む、世の中夏休みの時期。

トーキョーはどこいっても観光地、人ごみに揉まれたくないし、
かといって、外に出ないで家にじっとしていられない性分。

となれば、昼から蕎麦屋さんにでも行ってこようかな~。(最近そればっか?!)


蕎麦に詳しい友達に、お盆真っ只中でも営業している美味しいお店を教えてもらった。

亀有にある 吟八亭 やざ和 さん。

1resize0960.jpg

木のしつらえが良い雰囲気の門構え。
入口は1Fだけど、お店自体は2Fにある。

外と同じように、店内も木がたくさん使われれて温かい雰囲気だ。

1resize0956.jpg

写真はお客さんが居ないけど、これは後で空いてきた時に撮ったもの。
入店した12時すぎの頃は、テーブル席4つと座敷席2つ、全部満席。
でも、ちょっと待っただけですぐに入れた、ラッキー。


そいえば友達にオススメメニューを聞いておけばよかったのだけど、今回はノーマーク。
でも、 限定20食 田舎せいろ は押さえとくべきだろう。

最初の注文なのに 「最後に田舎せいろを2つ良いですか?とりあえずビールを。」 と、
生ビールを飲みつつ、他のつまみをゆっくり選ぶ。


おつまみのページの 玉子焼き が美味しそう。
もう一つ気になったのが、お蕎麦メニューの合間にあった 蕎麦がき 。
普通、おつまみのページに載ってますよね・・・?! なぜに、こんな所に載っているんだろう。
と、何か不思議な感じを持ちつつ、頼んでみることに。


すると、お通しなのか、紹介してくれた友達のおかげなのか、こんなおつまみを出してくれた店主。

1resize0962.jpg 1resize0963.jpg

揚げ蕎麦 は、既に良い塩梅の味付けがしてあって、ぽりぽりと最後まで良いおつまみ。
ゴマ豆腐 は、ゴマの風味よりも“大豆しっかり”な素朴な味わい。


これをつまみながら飲むビールも、暑い日だったこともあり、あっという間になくなってしまう。
次はやっぱり日本酒。

メニューには 「熱燗」 「冷酒」 と書かれているのみ。
でも「冷酒」の横には 「地酒各種あります」 と追記されているので、何があるか聞いてみたら、
お酒銘柄がずらっと書かれた別冊子が出てきた。

「なんだー、ちゃんとあるんじゃーん(笑)」 と、友達と喜びつつ、東一 を冷たいのでお願い。

久々の東一、どうかなー?と思ったのだけど、これが結構ウマイ。
芳醇で、でも香りはほどよく、熟された味わいもする。もしや自家熟成?!

ちょうど良いタイミングで 玉子焼き が出てきたのだけど、いやいや、合います。

1resize0950.jpg

ちょっと焼き目がついた玉子焼きだけど、玉子と出汁の味がしっかりしている。
よくある「ふわとろ」もいいけど、こういう味も大好きだなぁ。


さらに、お燗をお願いすると、こんなツマミも用意してくださった。

1resize0951.jpg

この蕎麦味噌が、ほんとーーーにウマイ!!
甘すぎず、でも辛すぎず、これはチョビチョビやってたら、2合くらいは行けてしまう。


それにしても、友達との会話に盛り上がり、遅々としてツマミが減らない我々。
もう一品の 蕎麦がき は、温かいウチに食べて欲しいと、玉子焼きを片してから出してくれた。


1resize0952.jpg

おおお?!こ、これは!?

この「まるで定食」のようなスタイル、さっきから、常連と思われるお客さんのほとんどが頼んでいたモノだ。
(ちゃっかり周囲をチェックしてしまう自分)
器の大きさから 「かけそばかな~」 と思っていたのだけど、蕎麦がきだったとは。


蓋を開けると、温かい湯気が立ち、中には真っ白な蕎麦湯と、それにどっぷり浸かった蕎麦がき。
ボリュームもそれなり。

1resize0953.jpg

なるほど、これなら蕎麦メニューの一環にあってもおかしくないかも。

蕎麦がきは、ねっとりしてるんだけど歯にくっつかない程度に固く、蕎麦湯も濃厚。
ちょこっとツユや薬味をプラスすると、これまた色々味の変化が楽しめてしまう。

友達と二人してスゴイ!美味しい!下調べしてなかったのにナイスチョイス!
と感激していると、
だいぶお客さんも引いて手が空いたのか、大将がフロアに出てきくれた。

思わず
「すごいっすね!この蕎麦がき!こんなの初めて見ました。」と、声をかけると、
「これぁなぁ~、傑作品で人気あるんだぁよ~!前に30食も作って腱鞘炎になっちゃってよ。」と、
思いっきり下町風な大将。かっちょい~。

「あんたたち、食べるの遅いけど、これは温かいうちに食べんだぞ。」

なんて言われてしまった(汗)。
はぁい、すんません~、と我々。
(イヤ別に、ガンコな大将、じゃなくて、我々のキャラ的にそう言われてしまうだけです。)


でも確かに遅いよね…時計を見たら、閉店15時なのに、もう14時を回っている。

そろそろ 田舎せいろ お願いしないと!

もちろんすぐ出てくるワケではないので、しばし熱燗を飲んでいると、
まんこい って知ってる?奄美大島の黒糖焼酎、飲んでみねぇか?
 あとちょこっとしか残ってなくて、一升瓶が邪魔でよ、片したいんだよ~。」 と大将。

我々が気にしないように、そう言ってくれたのかなぁ。
でもお言葉に甘えて…

1resize0954.jpg

って、大将…こ、こんな大きな切子グラスにたっぷりロック・・・ありがとうございます(>_<)!
もともとラムが好きだったこともあり、この黒糖焼酎も美味しい。


ちなみに、この切子、ちょっと変わってて可愛い!
こういう酒器にも拘りがあるんだろうな。


さて、いよいよお蕎麦が。

1resize0957.jpg

とっても大きなお盆に、ツユと薬味と、この蕎麦。

すると、大将が
「こん中(お盆の中)に一つだけ、俺の手作りのがあるんだよ。どれか分かる?」 とな。

薬味が乗った、木の容器がそうらしい。
すると、
「あの入り口のあそこも、このテーブルのコレも、あっちも、こっちも。」 と、
大将の手作り満載な店内を紹介してくれた。

すごいなー。あらゆるところに大将の手が加わっている。
だから、手作り感のあるやわらかい雰囲気の店内だったんだ。


ちなみに、限定20食というのは、入口脇にあるこの石臼で、大将が毎日手挽きしている。

1resize0961.jpg

田舎というと、余り長くないけど無骨な感じが大好きで、しっかり噛んで食べるという印象だったけど
大将のはのど越しも良い。

無骨さはありつつ、つるん、噛み噛み、つるん、噛み噛み…の繰り返し。
…よー分からん表現だ(汗)。蕎麦は素人なので、すんません。
とにかく旨いということです。

この蕎麦と、ちょっと濃い目辛口なツユがまた合う。
無我夢中で食べちゃった。


結局15時閉店ギリギリまで居座ってしまったのだけど、
江戸っ子大将の最後まで温かいおもてなしに、こちらも温かい気持ちになってしまった。


そうそう、そういえば。

ご家族で蕎麦を食べに来ていたきていた、ずいぶんお年を召されたお婆さんが、帰り際に、
「こちらのお蕎麦は、ほ~んとうにおいしいですね。一番好きです。」
と、大将に取り入る言い方ではなく、自然と言葉があふれた感じで言っていたのが、とっても印象的だった。


[お店情報]
アクセス:亀有駅から徒歩7分
住所:葛飾区亀有1-27-8
TEL:03-3690-8228
営業時間:11時半~15時/17時~20時
定休日:木曜・第三水曜

[飲めるお酒]
東一
飛露喜
九平次
などなど

お燗は何だろう・・・?!