創業1925年・・・と聞いても、一瞬ポカーンとなってしまった自分・・・。
でも 今年で81年目 と数え直したら「長いなぁ」としみじみ思ってしまった。

トーキョーには、こんな何十年も続けてきた「老舗の名店」というものがたくさんあるだろうけど、

この日は湯島にある シンスケ に行ってみた。

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湯島には他にもたくさんの良いお店があるだろうけど、やっぱり押さえておきたい一軒。


常連さんが多い上に有名店?なので、混んでいる事が多いらしい。
後ろのテーブルよりもカウンターの方が好き、という連れと、
「仕事が早く終わった方から席取りね!」などと言いつつ到着したのは・・同時だ。

さてさて、空いているかな?! と入ると、意外にも結構空いている。
でも、カウンター後ろのテーブル席は満席。

はて・・・もしかして、下町ならではの 「開店したての17時ピーク」 が過ぎたばかりで
カウンターに空きが出始めた頃だったのだろうか。

それでも、店内はワイワイと賑やかだ。

ちなみにシンスケの1Fテーブルは面白い形をしている。
普通、「テーブル席」というと対面で座るのが当たり前だけど、ココでは2人横並び席。

要するに、テーブルにつくと、全員一列にカウンターを見て座る事になる。
てことは、カウンターにいる人は、背後を常に見られているワケだ。

「後ろが気になるんじゃ・・・」と思われるかもしれないけれど、そう感じないのがシンスケの良いところ。
ひとたびカウンターに腰掛けてしまえば、もうそこは自分たちの世界になってしまう。


改めて周りを見てみると、他の人達も席取りをしているのがワカル(笑)。
おしぼりは2つ並んでいるのに一人で待つお客さんが右にも左にも。
そんなお客さんは、ご主人と会話を楽しみながら待っているみたい。

周囲は常連さん、しかも老舗・・・ちょっとためらいながらも
「写真をとってもいいですか?」と聞くと、若旦那が「フラッシュたかなければ」と仰ってくれた。

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カウンターの目の前にはズラっとメニューの短冊。

話には聞いていたけど、魚介類のメニューはたいていが4ケタでちょっと高いと思うかもしれない。
でも、飲兵衛にはちょうど良いつまみは700円前後。

エビスの瓶ビールにお通しをつまみながら、まずは ねぎぬた を注文。

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コレ・・・あまりにも美味しくて、びっくり仰天!
なんてことない「ねぎぬた」なだけに、本当に「びっくり仰天」という言葉がピッタリだ。
歯ごたえがシャキシャキだし、味付けもネギを引き立てている。

これはお酒がすすむ肴だなぁ、とさっそく日本酒を注文。

シンスケに置いてある日本酒は 両関 のみ。

なんでも、お料理との相性も考えて、料理酒にも両関をつかっているんだとか。
そんな徹底ぶりはカウンターの中の樽からも伺える。

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さて。
ご主人に「お酒を下さい」と頼むと、「辛口と甘口、樽酒がありますが?」と返ってきた。
辛口は本醸造、甘口は純米とのこと。

おそらく純米に落ち着くことになるだろうから、最初は辛口にしましょうか、ということに。
もちろんお燗。

すると、カウンター背後の棚に並んだ真っ白なお銚子を、燗すけのような入れ物にトプンと入れる。

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この手際が、見ていてとっても気持ちがいいのだ。
棚からさっと取り出し、お湯に入れる手つき、出したお銚子を拭う手つきまで、パパパっとこなす。
お燗を飲む人が多いけど、大量の注文もなんのその、といった感じ。

慣れれば当たり前なのかもしれないけれど、そんな一つの作業まで趣が感じられたりして。


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縦に「シンスケ」とさりげなく入っているのが、またいい。
後ろにひっくりかえすと・・・


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こんな所にも 「両関」 が。
なんだか、ディズニーランドで「隠れミッキー」を探すみたい。


お燗に合わせて出てきた他のお料理は 煮奴鍋生麩の田楽

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煮奴というから、豆腐が煮立ったものがやってくると思っていたら、
えのきも入って玉子でとじている。
お醤油の味付けなんだけれども、これがフワフワの玉子に染み込んで・・・

んん~、たまりません!
ほんっとーにうま~~いのです!

合わせてお燗を飲むと、これまた幸せな気分。

次からは、やぱり純米を飲み続けたけれど、ベトっとしないし、甘口という甘さは感じない。
自分の好みとしてはやっぱり純米だなぁ。


両関なんて・・・と思われるかもしれないし、自分の家で飲んだら美味しく感じないかもしれない。
でもこれが不思議。

ココでお料理と一緒にお酒を飲むと、ウマイウマイ、と思ってしまうのだ。

シンスケだからこそ、
お料理にお酒と、お客に店主、そんな色んな雰囲気が一体となった味わいが出せるんだろうなぁ。

81年もの年月の流れの中では、自分が居た時間なんて一瞬かもしれないけど、
それでも自分の心には残る、心地よいひと時を過ごす事ができた。


[お店情報]
アクセス:湯島駅3番出口から、徒歩1分
住所:東京都文京区湯島3-31-5
電話:03-3832-0469
営業:17:00~22:00(21:30LO)
定休日:日、祝

[飲めるお酒]
両関のみ