日置桜の蔵元さん を後にした私たち。

運転手(=飲めない)のY店長の目の前で、かぱかぱ利き酒を飲んで良い気分になっていたし
なんとなく天気もよくなったので、日本海側を車で走っている時もテンションが高い。

そんな私たちが次に連れていってもらった所は 鷹勇 の蔵元さん 大谷酒造 だ。

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もともとこの日は、蔵元さんの方で法事があったり坂本杜氏さんは用事でいらっしゃらない、と
ご都合が悪そうだったので諦めるつもりだった。

が、旅行計画を練っていた時、
Y店長が 「さらっと見るくらいなら、私が案内しますよ」 と仰ってくれた。
(それが、そもそもY店長とのドライブツアーの始まりだったな。)


でも何だか無理矢理っぽくて申し訳ないなァ・・・なんて思っていたら
坂本杜氏(Y店長にならって「おやっさん」)が帰ってきていた!

Y店長を見るやいなや、おやっさん、何だか目がキラキラした。
お互いに信頼し合ってるんだろうなぁ~~なんて思いながら、こんにちは、とご挨拶。

ようこそ遠いトコからー。 私たち
じゃ、蔵案内してあげて。 Y店長

と、おやっさん。
あははー、すっかりY店長は蔵人さんのよう。


勝手知ったる蔵といった感じのY店長に色々案内してもらい、
2Fで出会ったのは トンビさん 。

「今は面白いのがあんまり無いですよ。」と言いながらも 酒母 を見せてくれた。

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左写真の機械は、下の方に溜めた酵母や乳酸、酵素たっぷりの液体を吸い上げて
また上から “しゃっ” とかける自動の機械。
これが無い場合は定期的に手でかけないといけないので大変らしい。

右写真の酒母の中からひとすくい、ちょこっと利かせてもらった。
お米のつぶつぶ感があって 「食べる」 という感じ。
酸っぱいような甘いような・・・乳酸菌がいるから当たり前か。


さらに山廃の酒母の部屋にも案内してくださった。

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ここだけ 「特別部屋」 のよう。
最初に見た酒母たちは大きな部屋にずらっとあったのだけど、
山廃の酒母は年季の入った、暗~い木の小部屋の片隅に、ひっそりとたたずんでいる。

なんだか桶から漂う雰囲気も違うと感じるのは何故?!トンビさんの苦労が滲みでているのか?!

これも杓子ですくって、一口。
甘~い!
Y店長は 「この甘さがもっと無くなってくんなきゃ困る」 と。
まだまだ酒母の途中だから、ちゃんとこの甘さも消えていく。


それにしたってトンビさん・・・
さっきも今も、杓子から直接口をつけて利いたのに、残りを 「ぺっ」 と桶に戻す。
内心 「えぇ? いいの?!」

“まきこ菌” がこの酒母たちの中に混ざってゆく・・・。
(それをいうなら、Y店長や友達のもだけど!)

乳酸菌(雑菌をやっつけてくれる) VS まきこ菌(・・・雑菌?)

う~む・・・どちらも応援したい気分だけど、とにかく立派な鷹勇になってね・・・。


そういえば、「トンビさん」と言っているけど、肝心な本名を聞くのを忘れてしまったではないか(汗)。
Y店長は「鷹になれないでいるからトンビ君」 と言っていたけど、
慣れた手つきで、立派に説明してくださったんだもの、全然そんなことない。
ご案内、ありがとうございました~!


そうして、酒母のところから、今度は再びY店長が麹室へ案内。

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写真では見難いかもしれないけど、
出来上がった麹は、お米に真っ白な麹菌がしっかり付いている。
中を割って見ても同じように真っ白。

Y店長は、この麹たちを “わしわし” と握っている。

何をしているんだろう?と見ていると、
「今までの感覚だと、握った時の麹の弾力?撥ね返り?がある方が日本酒らしい出来に、
ない方が焼酎っぽい出来になる“気がする”。ホントかどうか知らないけど。」 と言う。

同じように私も “わしわし” 握ってみると、この麹は手にくっついてくるようなはね返りを感じる。
「元気がよさそうな麹だなぁ!」という感じ。

でもって私の手垢をしっかり麹たちにつけてきた。。
(それをいうなら、Y店長の手垢も、友達の手垢も・・・(しつこい))


さらにその後も、もろみを見せていただいたり、
アコーディオンのような搾り機にかけて、出てきたばかりのお酒をいただいたり。

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右側の白いモノが搾り機、そこから管が手前のタンクに繋がっている。
ここから、またもやひとすくい。

これがもう!
きゅーっと目をつむってしまいたくなるくらい、ウマイ!!
搾りたてだから荒々しさはあるけど、元気をお酒からもらえる、という感じ。


ちなみに吟醸部屋にも行ったのだけど、入るやいなや嫌そ~な顔をするY店長。
確かに「ぷ~ん」と香る。 ほほー、この香りが苦手なのかぁ。
「うえ~、ヤダヤダ、早く出よ!」 と、 本当に逃げ出すようにこの部屋から出てきた(笑)。


それにしても、大谷酒造で働く人達はとっても活発で元気が良い。
おじさんもおばさんも、ハリがあるというのか、見ていても気持ちがいい。

おやっさんも、私たちが行くとこ行くとこ、ひょこっと現れるのだ。
「アレ?さっきあっちに居たはずなのに、今度はこっちで仕事してる。」ってな具合。


そんなお忙しい中、おやっさんが用意してくださったお酒たちの利き酒を。

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再び飲む飲む私たち。
Y店長は 「じゅるじゅる・・・ぺっ」

・・・ホントに車の運転ありがとうございます(汗)。


やっぱり出来たてのお酒だから荒々しさはあるけど、
米の旨味や酸味やいろんなものが、ぎゅーっとつまっているような感じだ。

「今年の辛口純米の出来は、俺やまき子さんみたいな大酒飲みが好きそうだねー!」とか
「少量で満足したいなら、これがいいかな。」とか
また色々話ていると・・・

おっと、次の目的地、境港行きの電車の時間が差し迫っている。
そろそろ大谷酒造さんを出発しなければ。

帰り間際には、おやっさんが 「向かう電車の中で、コレでも飲んでいきなさい。」 と
特別純米酒 (720ml) をお土産にくださった。

っくー、なんて嬉しい!!
大事に大事に電車で飲みます。


でも・・・ということは、Y店長ともお別れかぁ・・・。
うう~~~さみしいなぁ~(涙)。


と、心の中で思いながらスケジュール表(そんなのもちゃんと作っていた)を見ると・・・アララ。
もう予定の電車の時間を過ぎてしまっている。

しょうがない。
「大丈夫です。次の電車に乗っていきますよ。」 と言っていると、
Y店長、「米子駅までだったら車で送ってくよ」 と。


やったー!!
「えぇー、ホントですかー?」 なんて遠慮ぶって言ってみたものの、内心大喜び!
(Y店長後日談 : あんな酒くせー娘っこを放り出して帰れん

そうして、この後も1時間ほどドライブの旅が続いた。
日本海を見れたし、風力発電の秘密(実はプロペラで鳥取ごと飛ぶんだとか(笑))を聞いたり、
Y店長の悪行の数々を聞いたり。

他愛もない話でワイワイ。 何気に最後の米子ドライブが一番楽しかったりして。


でも、やっぱりお別れの時は来るわけで・・・。

計画段階から蔵巡りから米子まで、ホントにすっかり頼りっきり。
見た目はコワイけど(お約束)、とっても親切なY店長、本当に本当にありがとうございました。

今度行く時はY店長も飲めるようにしなければ!
一緒に飲めば、もう「酒くせー」なんて言われないもんね。