夜中、吉祥寺の街を歩いていると、


「オニーサン、マッサージイカガ?」


と片言の日本語でおばさんがよく近づいてきます。


良い思いができるのか悪い目に遭うのか知りませんが、


まぁ今のところは着いて行ったことがありません。


 


けど過去に1度だけ、本気で着いていこうかと思ってしまった瞬間がありました。


 


去年の大みそか、バーで1人でビールを飲み、プロジェクターで格闘技を眺めているうちに、気づけばもうすぐ深夜零時でした。


カウントダウンが近づき、店内のムードは徐々に盛り上がり始めましたが、人見知りの僕はその輪に加わらず、店の外へ出て帰路を辿り...。


 


やっぱり少しだけ寂しかったのかもしれません。


ババアに声をかけられた時は、ちょっとだけ心が揺らぎました。


「じゃあね。よいお年を」


それでも誘いを交わしながら僕が言うと、ババアも笑って、白い息を吐きながら言いました。


「ヨイオトシヲ」


 


ババアがしていた毛糸の手袋があったかそうだったのを覚えています。


 


 


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