前回書いた、茶・銀座に行くのは、夕方から歌舞伎を見る前、ということもあります。この歌舞伎も、私と友人が「お得だねー」とささやき合うところ。勿論、一等、二等席は値が張りますが、3階席になればグッと行き易くなります。数年前、初詣の後一緒にお酒を飲むことになった、見知らぬ芝居好きのおじさんに言われました。「お嬢さん、あなたくらいの年齢なら、3階席で十分だ。」


そして、3階席に来ると、あのおじさんの言葉を思い出すのです。ちゃんと見えるかな、なんて心配は杞憂、舞台全体が視野に入るし、しっかり楽しめます。細かい表情が見たい時だけオペラグラスを使う。3階席の良いところは、「中村屋!大和屋!」の掛け声が近くで響くのでどうしったて気分が盛り上がること。12月は三津五郎、勘三郎、玉三郎、橋之助、勘太郎、七之助、海老蔵・・・悲劇、喜劇、舞い、これでもか、これでもか、と繰り広げられる芸の世界。主役級の人たちだけでなく、黒子の人に至るまで、全員、隅々まで一流なので、どこまでも楽しめてしまう。


舞台だけでなく、歌舞伎座は劇場全体がまるで遊園地。1階では手ぬぐい、カレンダー、お正月のお飾りなどと一緒に鯛焼き、人形焼きがその場で焼かれて立ち去り難い良い匂い。食事も6,300円の松花堂弁当から、700円のカレーまで幅広くあるのが嬉しい。


ご存知の方も多いと思いますが、歌舞伎座には3階席のさらに上、一幕見席と呼ばれる4階席があり、そこは一幕だけ見られて700円から1500円位です。演目の前に並んでチケットを買います。しかしこの席、売店や食堂の利用は出来ません。1等から3等席までとも手すりで区切られています。そう、天井桟敷です。それでも映画を見るくらいの気持ちで行きたい人には良いですよね。


ちなみに、3階席はA席4200円、B席2500円。3階席の注意は花道が見えない席が多いこと。花道でいろいろ行われると、下の席から響くやんや、やんやの喝采を聞きながら、誰もいない正面舞台を眺める、なんてことも。

歌舞伎座は今度改築されますが、3階席や一幕見席、そして食券を買って食べるカレー屋さん、こういった気軽に行ける部分をどうぞ、十分、残してください、とは、友人と私の切なる願い。