時は10月10日(日)午前9時。
天気は小雨。
祭りに相応しくない空模様だけど、「お好み茶屋 竜太」では祭りの準備が着々と進んでいた。


9日の夜のこと・・・。


焼きそばを食べに行った時、「竜太」では武藤さんご一行様が祭り前夜祭の飲み会で盛り上がっていた。
何故かいつもタイミング良く出会ってしまう。
すると・・・武藤さんから一言。
「おたつ、明日来い。」(あ・・・やっぱり)
「は・・・い。」
これで、おたつの「上北沢山谷稲荷神社御祭禮」初参加が決定。
予定では、遠巻きに見て取材するつもりだったのだけど・・・。
逆らえません。
武藤さんはわざわざ家から「武藤」の半纏を持ってきておたつに貸してくれたのだ。
上北沢では絶大な威力を持つとされている「武藤」の半纏。
これを着られる人はそうはいないはず。
行かない訳にはいかない!
それにしても、テンション高かったな・・・。遠足の前の晩みたいなワクワクする気持ち。お祭りはもう始まっていたのだ。



お祭りに参加するなんて・・・何年ぶりのことだろう?
しかもお神輿を担ぐなんて。
むか~し子どもの頃に担いだ覚えがあるくらい。
普通に竜太さんのお家にお邪魔して着替えもしてるし。
不思議な縁だ。
最近とみにそう思う。


「竜太」さんにシャツと股引きと腹巻と足袋をお借りして、武藤さんにお借りした半纏を着て帯を締めたら、おたつでも何とかそれなりの格好になった。
帯は骨盤のちょっと下の方で締めるとカッコイイらしい。
功さんに締めてもらって準備は完了。
腹巻の中に携帯も入れて取材準備も完了。

腹ごしらえにおにぎりと漬物と、

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お米屋さんの炊きたて赤飯。


を頂いた。
宮出しの時に、全員でくいっと日本酒を飲むようなので、その前に何かお腹に入れておかないと。
空きっ腹に日本酒は堪える。
ま、飲んで担いで・・・の繰り返しだからあんまり関係ないか。

さて、時刻は10時前。
山谷稲荷ではそろそろ宮出しの時間だ。
何やら雨足が強くなってきたけど大丈夫かな?

出発前に皆で記念撮影をしましょう。


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はい、チーズ。


黄色の手拭いが竜太の目印。


真ん中は「竜太」の看板娘、寿香(2年生)ちゃん
その左後ろが阿仁屋くん、右後ろが小牟礼くん、さらに後列右から2人目が川崎くん
この3人は東大軍団(25歳)。ラサール中学時代からの付き合い。
小牟礼くんが大学時代に「竜太」を見つけて、3人ともお神輿の虜になってしまったらしい。
後列左端は「竜太」店主功さんのいとこの美保さん
その隣が功さんで、その隣が名物おやじこと敬一さん
して、右端は、祭りのために毎年三重から上京している中井さん
写真を撮ったのはおたつ
竜大くん(4年生)はまだ準備中。
功さんの奥さん(圭子さん)は家の中。
さらに、上北沢小学校副校長の冨田さん(おやじさんが引っ張った)と、この後出てくる元竜太君の担任中野先生(こちらもおやじさんが)を合わせて・・・。


今年は総勢13名の「お好み茶屋竜太軍団」!

お神輿に魅せられてしまった面々は、今年も山谷稲荷を目指して出発!

おたつは・・・不安と期待でいっぱいだった。
全くの初心者だからちゃんと担げるかどうか・・・?
けれど、功さんの話(お神輿はいいよ~って話)を昨晩聞いていたので、ちょっと楽しみでもあった。
足袋を履くなんてことも滅多にないから新鮮な感じだったし。


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山谷稲荷前到着。    お神輿はこちら。


神社の前には、既にたくさんの人だかり。
上北沢だけではなく、八幡山、上高井戸、下高井戸、高井戸、船橋・・・などいろんな街から今日のお祭りのために多くの方が集まったのだ。

雨足はさらに強くなった。
このまま土砂降りにでもなるのか?
おたつが参加したからかな?


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雨入りの日本酒が。


全員に配られた。

神社の入り口で祭りの始まりを告げる挨拶と「木遣り唄」(きやりうた)が始まった。
鳶の頭の唄に続いて、前に並んでいる全員が声を合わせて唄う。
これはお祭り前の大切な儀式なのだ。
雨の中、唄が響き渡る・・・。

・・・。

そして、

「かんぱ~い!」

の掛け声で、大人たちは全員手に持った日本酒を一気に流し込んだ。

降りしきる雨の中、「上北沢山谷稲荷御祭禮」はスタートした。

ささっと皆さんお神輿のそばに駆け寄り、肩に担ぐ。
おたつはちょっと後ろで観察。
腰が引いていただけ。


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えっさ~!


この掛け声は最後までよく分からなかった。
江戸の祭りの掛け声は「わっしょい」らしいが、上北沢(は元々江戸ではないらしいが)の場合「えっさ~!」とか「さー!」とか「おー!」とか「あー!」とかだったように思う。
メインは「えっさ~!」・・・だったような気がする。
お神輿を担いでいると夢中になってよく分からないのだ。
興奮状態。

これを、「ナチュラルトリップ」と言う。

また一つ勉強になった。

後でお神輿にくっついていると、武藤さんが「おたつ、コラ、担げ、ほら!」と言わんばかりに、手招きしているのが見えた。
はい、逆らえません。
ほぼ初めてのお神輿体験スタート。

昨晩竜太店主功さんに教えて貰ったように、担ぎ棒を肩と首にピッタリくっつけて、膝で上下を調節して・・・なんて、初めてだからそうはうまく行かない。
お神輿がユッサユッサ大きく上下に揺れたとき、バンバン肩に担ぎ棒が当たって非常に痛かった。
痛いまんまでは担ぐのは到底無理なので、何とか棒をつかんでリズムを取ってみた。

・・・難しい。

おそらく必死の形相で担いでいたと思う。
きつい~!
痛い~!
なんて思ってたら、

?宮崎邸に到着。


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お神輿も休憩。                 朝からビール三昧。


早速、ビールとお食事が振舞われた。
今日はお祭り。
朝から晩まで飲んでも良い日なのだ!
さて、これから夕方までどれくらい飲んで食べるのか?
おたつの胃と肝臓は持つのか!?

大丈夫かな?

鳴木屋輪店の三代目啓之さんと杉田フューネスの杉田さんにご挨拶をして、おたつもビールを飲み始めた。
・・・というか、紙コップ持ってウロウロしてたらイヤでもビールが注がれる。
昔ショットバーに勤めていた時の癖で、おたつには貰ったお酒をすぐに飲んでしまう習性があるため、次から次へとビールが・・・。

絶対に酔わない!

と心が固く動かない。
そう、そうでなければ水商売なんてできないのだ!
水商売やってる訳ではないのにねぇ・・・お祭りなのにねぇ・・・お酒は飲んでも酔わないもの!と体にインプットされてしまっている。

休憩はあっという間に終わり、次のお宅へへレッツらゴー!

お神輿は実際に担いで練習しないとうまくならない。
いつものおたつなら腰が引けているところだが、この日は違った!
ビールで軽く酔った勢いを借りて、また挑戦してみたのだ。

すると・・・(たまたまだったのだけど)最初に比べて肩が痛くないし、何やら楽しくなってきたのだ!
お神輿を担ぎながらニヤニヤするおたつ。
あまり人にはお見せできない顔だったはず。


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「はなびし」さんの前。  カレー屋さんらしい。


着いたのは、?飯塚邸
「はなびし」さんは特に関係ありません。
こちらでもビールに枝豆、唐揚げに梨などがたくさん振舞われた。
雨で寒かったから梨が全然売れてなかったけど。
中井さん(三重から上京)がおたつと東大3人組にやたらとビールを注ぐから大変だった。

あっという間に時間は過ぎて、次のお宅へ出発。

甲州街道の北、住宅街に入っていく一行。
周りで見守る人の数も増えてきた。
住宅街に笛の音と皆の掛け声が響き渡る・・・。

しばらく後、
着いたのは、?山室邸


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2階のおトイレをお借りした。


こちらでもビールに熱燗、たくさんのご馳走を頂いた。
お腹は結構一杯になっているはずなのに、あると食べてしまう。
肥満の始まり。


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これがあと6回も続く。  食い意地張ってます。


ここであの中野先生をご紹介。
竜大君が3年生の時(去年)の担任だった。
渡辺家ではチー坊と呼ばれ、親しまれている。
今回が始めてのお神輿。


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敬一&チー坊。


63歳と25歳のカップル。
年の差37歳!
いや、年の差なんて関係ないの!

おっ!
そんな2人の間に割り込んできたのが・・・鹿児島県の指宿出身、ラサールから東大へ入り、現在は大学院に通いながらフリーターやってる、小牟礼くん
なんと!
中野先生も鹿児島県の指宿出身。
もしも小牟礼くんが公立の高校へ通ってたら、同級生だった!というニアミスが発覚。

小牟礼くん、おたつと同じ独り者です。
思い切って中野先生にアタック!(古い・・というかこんなこと書いてて恥ずかしいわ)


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プチ合コン開催中。


中野先生も独り者なのでしょうか?
いや、カワイイからきっと彼氏いるな。
63歳のおやじも控えてるし。
人気者はツライところ。

さ~。
小牟礼くん、頑張れ。
もしかしたらチャンスかもしれないよ。

・・・。

なかなか会話が弾まないようだ。

そろそろ時間切れ。

急げ!

おっ!?

小牟礼くん、とうとう告白か!?



・・・。



・・・。



・・・。



ごめんなさい・・・(byチー坊)。


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ガーン。


小牟礼くん、ガックリきております。

まあ、しょうがないね。
世の中そんなに甘くはないのだ。
出身地が同じだっただけ・・・。

悲しいけど。

悲しいところに可愛い笑顔が登場。


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寿香ちゃんと・・・?


さて、この2人は上北沢小学校の2年生。
同級生で仲良し。
右の女の子は一体誰の娘さんでしょう?


その答えは・・・。


なんて引っ張るほどのものでもないのでご紹介。

そう、あのムトウ電器の武藤さんの娘さんなのだ。
お母さんにソックリで可愛い。
良かったね、お父さんに似てなくて。
もしもお父さんに似てたら・・・!

恐ろしい。

でも、よくよく見ると武藤さんて男前だから・・・。

いや、やっぱり女の子だと可哀想か。


この続きは中編にて。