渋谷区、といっても渋谷駅からはかなり離れた区の北西部。
ふと顔を上げれば間近に聳える都庁ビル、しかしこのあたりは背の低い昔ながらの住宅街だ。
どこからか、風に乗って流れてくるノスタルジックなラッパ音。
そんなのどかな一角に、玉川湯がある。
 
幾分小型ながら、古きよき時代をそのまま伝える立派な寺社風の面構え。
都心もほど近いというのに、21世紀の東京によくぞこんな銭湯が残っていたものだ。
静岡から東京へたまに買い物に来るだけだった学生時代は、渋谷、新宿、池袋?
目に付くのは、山手線から眺める巨大な繁華街ばかり。
都内在住の友人に連れられたのもそれらの商業地ばかりで、
東京といえばどこもビル街ばかりと強く刷り込まれた自分には、
東京勤めが6年目となった今でさえも、このような銭湯が現存していることに
不思議な感覚を覚えずにはいられない。

外観どおり小ぶりな浴室、味の出た昔ながらのタイルたち。
その奥には、それはもう見事な赤富士が描かれていた。
東京銭湯で富士山はいくつも見てきたが、赤富士というのはとても希少な存在だ。
しかも描き替えから2年近く経つというのに、染みひとつ見当たらない。
作者は現役ペンキ絵師の中島氏、ここ数年の作品でもとりわけ会心の出来と聞く。
 
 
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○ 玉川湯
 
住所 東京都渋谷区本町4?36?2
電話 03-3377-7241
営業 16:00~24:00
定休日 月曜