草津湯の暖簾を潜ると、外の通りが急に騒がしくなり始めた。
脱ぎかけたシャツを被り直し表へ出ると、御輿を担ぐ法被姿の子供たち。
ああそうか、今日は天王際。
三ノ輪から荒川付近にかけて毎年初夏に行われる、下町の賑やかなお祭りだ。
確か去年もたまたまこのあたりに来ていて、荒川2丁目の富士見湯(※1)で、
祭り帰りの子供たちと湯に浸かったのを覚えている。
 
ほどなくして去っていく御輿、草津湯にもいつもの静寂が訪れた。
あらためて見回すと重厚な番台や格天井、下町らしいとても立派な東京銭湯だ。
奥には、剥げかけた富士山の絵があった。
だいぶ前のもののようで多少画風も異なるが、あの青々とした色使い?
今春に亡くなったペンキ絵師、早川氏の作品(※2)に違いない。
 
経年劣化のため数年前に描き替えを頼もうとしたのだが、
多忙なのか、なかなか連絡が取れなかったらしい。
そうするうちに、突然のご逝去。
 次は、赤富士を描きましょう?
交わしたはずの約束が、果たされることはなかった。
 
 
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○ 草津湯
 
住所 東京都荒川区南千住7?26?2
電話 03-3801-5574
営業 15:00~24:00
定休日 火曜
 
※1 第廿伍番札所 ~ 富士見湯 ~ 荒川区・荒川二丁目
※2 茶屋で一服 ~ ペンキ絵の早川氏、逝去 ~