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暖簾を潜ると目の前に、でかでかと書かれた"富士見湯"の古書体?
かつて石神井台が畑と田んぼだらけだったころ、
晴れの日ともなると、このあたりからは見事な富士山が見られたのだという。
それが、富士見湯の由来だ。
家が建ち商店街が発達し、富士の雄姿を拝むことは叶わなくなったが
その屋号は変わることなく、お客さんを癒し続けてきた。
都心通勤のベッドタウン、小奇麗な住宅の目立つようになった現在だが
ここらじゃ風呂無しのアパートはまだ多いというから、
地元の人たちにとってはなくてはならない存在なのだろう。
 
だがそのお湯が沸くのも、あとわずかな期間となってしまった。
ここも間もなく廃業し取り壊され、跡地にはマンションが建つらしい。
それでもその名前は"富士見マンション"、
富士見湯の記憶は消えることなく、後世に受け継がれていく。
 
 
 ボーン、ボーン?
妙なところから5つ、鈍い鐘が時を知らせる。
振り返れば番台の頭上に、大きな大きな柱時計。
古い柱時計はたくさん見てきたが、実際に鳴るものは本当に久しぶりな気がする。
全てを取り壊したあともこれだけは大切に家に飾るのだ、と
おかみさんは優しく微笑んだ。
 
 
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○ 富士見湯
 
住所 東京都練馬区石神井台3?24?37
電話 03-3997-0165
営業 16:00~22:00
定休日 月曜
 
※ 2009年2月17日をもって廃業