台東区の上野に谷中、文京区の根津に湯島。
昨今人気の下町に囲まれていま一歩存在感に劣る池之端だが、
その閑静な住宅街に佇む、六龍鉱泉。
台東区のみならず東西へ幅広く名の知れ渡る、東京きっての名物銭湯がここにあった。
 
 
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 以上ノ試験成績ニ據レバ本水ハ療養泉タルノ性質ヲ具有スルモノト認ム ?
 
現代ではもはや目にすることのない、旧文体の効能書。
そのうちのひとつに、ロイマチス? はて、見覚えのない疾病だ。
ロ・イ・マ・チ、さては"リュウマチ"を指すか。
「昭和六年八月廿二日」
なるほど、末尾の日付が重ねてきた時間を物語る。
 
だがその歴史もさることながら、売りはこんこんと湧き出る天然温泉の黒湯、
そして思わず飛び出したくなるほどの痺れる熱さ。
温度計の針はなんと50度近くを指し、あつ湯には百戦錬磨の常連江戸っ子も
そりゃあしかめっ面のはずだ。
そのうえ埋め水は暗黙の了解での御法度、蛇口を捻ろうとする者は誰一人としていやしない。
決して忘れることのない東京下町の強烈な記憶を、
六龍鉱泉はその赤らんだ肌に深く刻み込むことだろう。
 
すぐ隣は、恩賜上野動物園だ。
赤ら顔で表に出れば"キューン"、海獣の哀しげな声が夕暮れの池之端に響き渡る。
 
 
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○ 六龍鉱泉
 
住所 東京都台東区池之端3?4?20
電話 03-3821-3826
営業 15:30~23:00
定休日 月曜