昨年大みそかより始まった、東京銭湯お遍路の旅。
訪れた札所も50ヵ所を数え、様々な銭湯を紹介することができました。
しかしここのところ多かったのが、残念な結果になってしまった銭湯です。
 
現在、東京の銭湯は週に1軒のペースで廃業していると言われています。
事実、この1年で50軒以上(※)。
驚くほどの勢いで、銭湯は数を減らし続けています。
それも私の行きつけであったような町の小さなお風呂屋さんから、
廿世紀浴場や麻布十番の越の湯といった、東西に名を轟かす名所まで。
規模も評判も、関係ないのです。
最盛期には3000軒に迫った東京銭湯も、既に900軒を割っています。
今のペースが続けば、計算上はあと18年で東京から銭湯が姿を消すことになります。
 
銭湯は、このまま無くなってしまうのでしょうか。
もう銭湯は、日本人に必要とされなくなってしまったのでしょうか。
近い将来、思い出のアルバム写真を眺める次の世代の子どもたちに
のっぽな煙突の正体を尋ねられたとき、
 昔、東京には「銭湯」というものがあってねえ?
と、遠い空を見上げる時代が来るのでしょうか。
  
行く末は、私にはわかりません。
ただひとつ確かなのは、今日もこの東京のどこかで
苦渋の決断が行われようとしているという現実です。
 
 
おや、もうこんな時間ですか。
そろそろ、次の札所へ向わなければなりません。
残された時間は、もう決して長くはないのですから。
 
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(廃業後の廿世紀浴場 ? 台東区・日本堤 2008年2月)
 
  
トーキョー銭湯雑学コラム ~ 茶屋で一服 ~ 
 
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(※) 東京浴場組合作成、最新銭湯マップ発行後の廃業浴場参照