中央区・日本橋人形町のお隣、蛎殻町。
背の高い真新しいビルの挟間に、古風な日本家屋がふいに現れるこの界隈。
 
 
kakigaracho_03.jpg
 
 
地図を片手に目星をつけて歩くと、けたたましい工事の音が響いてくる。
鈍い銀色のシートに囲まれて、ぽっかりと空が口を開けた一角? 
長い休業後、そのまま廃業に追い込まれてしまった木村湯だ。
すでに取り壊しはほぼ済んでいるのだが、
黒ずんでもはや屋号の「湯」しか読めなくなったのっぽな煙突だけが、ポツンと取り残されている。
 
 
chuoku_kimurayu_01.jpg
 
chuoku_kimurayu_02.jpg
 
 
直前に訪れた、人形町の世界湯
開店前から多くの人が並び賑わっているように見えたのは、
こちらのお客さんが流れ込んできたかららしい。
 
おかみさん曰く歴史も長く、界隈を焼き尽くした大空襲からも奇跡的に逃れた、
本当に風情のある銭湯だったという。
訪れることができなかったのが、悔やまれてならない。
 
  
もう、その姿を確かめる術もない。
面影を偲ぶことすら、叶わない。
今となってはただ、隣のビルに焼け跡のように染みついた屋根の輪郭というのが、
流れた月日の長さを静かに物語っているばかりである。
 
 
chuoku_kimurayu_03.jpg
 
 
 
○ 木村湯跡

住所 東京都中央区日本橋蛎殻町1?19?2