表参道駅で下車し地上に出れば、ハイブランドの巨大路面店が立ち並ぶ表参道に、
閑静な街並みのあちこちにカフェやインテリアショップが見え隠れする南青山のど真ん中。
落ち着いた大人の街としてその名を轟かせる、都内屈指の最先端ファッションエリアである。
 
 
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おしゃれ好きの憧れの眼差しを一身に集めるこの界隈。
通勤途中ということもあり、自分の大のお気に入りでもある。
といっても、もっぱら目的は表参道ヒルズの向かいにある古着屋"サンタモニカ"と、
青山の銭湯なのだが?
 
真っ直ぐに伸びる、青山通り。
ここはひとつ、モデル気取りで大股にブーツを鳴らし、颯爽と風を切って歩いてみよう。
外苑前へ徒歩3分。
紀伊国屋から路地を覗けば、清水湯が忽然と現れる。
 
 
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暖簾の奥は華やかな表の通りとは一転し、ひとときの静寂に包まれる。
シックな模様入りの脱衣所は天井も高く、採光も十分。
番台の名残からも察するように、移り変わりの激しいこのエリアにあって
なかなかの歴史を感じさせる。
 
ここ30年変わっていないという巨大なタイル絵は見事の一言、地元のおじいさんも大絶賛だ。
しかし、自分が好きなのは浴室の配色だ。
ガラス戸を開けると一面、素材と色調の異なるブルーが迎えてくれるのだ。

 
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立ちシャワーを仕切るのは、表参道"Echika"を髣髴とさせるビビッドブルー。
壁面タイルの落ち着いたダークシアン、四隅の柱のミッドナイトブルー。
群青色のタイダイ調の浴槽はなどは、まるで鍾乳洞の地底湖のよう。
清潔で広さも文句なし、お客さんが途切れることが無い。
 
のぼせたら縁側で、鯉を見降ろし涼んでいくことすらできる。
ハイセンスなファッションエリアにありながら、なんという癒しの和の空間。
けれど時おりご一緒する蒼い瞳にも、不思議と違和感を抱くことはない。
それはきっとこのモダンさと、憧れの"青山"の響きがなせる業なのだろう?
 
  
けれどそんな隠れた癒しの清水湯も、もうすぐ取り壊されてしまう。
ただ救われるのは、改装のための"休業"であること。
若い客層を取り込むべく、大胆なリニューアルを行うという。

まあ確かにこのエリアにあって、どこにいらっしゃったのかと思うほどのご年配の方ばかり、
界隈のおしゃれな若者の姿が見えないのはもったいない。
この趣が失われるのは残念だが、街と共に進化する、そんな姿も見てみたい。
もしかしたら"Echika"や表参道ヒルズのように、新たな名所となるかもしれない。
 
 
来年4月まで、しばしのお別れだ。
また会おう、清水湯。楽しみにしているよ。
 

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○ 清水湯
 
住所 東京都港区南青山3?12?3
電話 03-3401-4404
営業 16:00~24:00
定休日 月曜
清水湯のブログ http://doggylab.exblog.jp/

※ 2008年2月29日をもって休業、2009年4月開業予定