入荷待ちのカメラが入ったとの連絡があり、土曜の夕方から出かけました。

学芸大駅近くのカメラ屋さんへの経路を地図で調べて、電車に乗りました。

トーキョースケッチのコラムを担当させていただくようになってから、
いつでもスケッチブックを持ち歩くようになりました。


新宿・渋谷と乗り換えて、東急東横線で学芸大学駅に到着しました。
音楽を聴きながら来ましたので、大嫌いな満員電車もなんのそのです。

家具を買いに車で近くまで来たことはありましたが、駅前は初めてです。



駅前の商店街は、建物が低くて空が高く、
きれいな夕暮れが街の輪郭をくっきりと照らしていました。

寒さの和らぎ始めた日の光を背に感じながら雑踏を歩いていると
自分も街の仲間になれたようで何だか嬉しくて、半歩だけスキップしました。




monogram




カメラ屋さんは駅から徒歩2分の通りの角にありました。



このカメラ屋さんはフィルムカメラで気軽にスナップ写真を撮る提案をしています。
珍しいフィルムがあり、発色の違いをサンプルで確かめながら選ぶことができます。

店内を一通り見た後に、目当てのトイデジカメ「Genie III」を買いました。
初期不良も多く、スリープ電流も多く、すぐに電池が消耗してしまうという
荒くれ者ですが、愛情をもって分解・改造して、徹底的に鍛え直してやろうと思います。




チェロキー




駅から徒歩1分の飲み屋さん。
前を通りかかったとき、ただならぬ運命の出会いを感じました。


店の外から読み取った5つのキーワード。

[1]エビス生:エビス生があるかどうかは、飲み屋選びの一基準です。
[2]水鏡無私:世界で一番好きな焼酎!これを看板に掲げている店とは。
[3]猫:看板の下にまんまる猫ちゃん。「入って飲んでけにゃー」と言っているよう。
[4]昭和:時を重ねてきたカントリー風な店の佇まい。
[5]大人のお子さまランチ:外に出ていたメニューのこのフレーズに心を撃ち抜かれました。





そして、店内。さらにうなずいた5つのキーワード。

[1]最先端:Macに入ったitunesが店のステレオセットにつながってBGMを奏でます。
[2]はなうた:ママは音楽が好きです。曲にあわせてはなうたを歌っています。ボクも少し歌いました。
[3]猫:猫は好きかしらと尋ねられました。窓際に「100万回生きた猫」が大切に飾られていました。
[4]モダン:着物のお客さんが二人。この店では着物の着付けもやっているとの貼紙。逆にモダン。
[5]オーガニックフード:マクロビオティックの考えに基づいたシンプルな料理に心も体も洗われるよう。




炊きあがったばかりの玄米のほか5種類の小鉢が乗ったプレートで晩ご飯をいただきました。

おいしいです。

玄米はぷちぷちと歯ごたえもよく、甘さがほんのりと口の中ではじけます。
その他、おひたしやサラダも素材本来のうまみを引き立たせるシンプルで素朴な料理でした。

食べ終わってイラストを描き始めると、さりげなくタイミングよく、お茶と落花生が。
落花生は先ほどのごはんで箸置きになっていたものでした。



おなかがすっかり満たされ、電車に再び乗りました。
街の灯りはやがて地下の灰色にかき消され、いつもの風景になりました。

ヘッドホンをして買ったばかりのカメラを抱え、壁にもたれて目を閉じました。
いつもの風景は、かつてはあの商店街で見た夕陽のような温かな色をしていたのでしょう。